• 夏のお題

     

    夏の薄片をさがしに
    スペース・シャトルに雨は降らない
    月面下交渉
    宇宙をさすらう塵に乗って
    あなたの元まで堕ちてゆきます
    あの日噛みつけずにいた唇
    満たされてみたいわ
    花愛づる瞼
    天使不在の裏庭より
    ぜんぶ嘘でいいのに

    決まって25時
    魔女のみぞ知る/witch only knows
    あの青だけは永久に
    夏の夜だまし
    電波少年は夜を越せない
    花咲み(hanaemi)
    地球にも彼にもやさしい
    しろくま殺戮家
    鉄の味に怯えるふたり
    あの手この手で捕まえて

    きみの心のパスワード
    声に出したら解けてしまうね
    口内炎とトマト
    ネバーランドが滅びる日
    おとなになるには舌足らず
    炎天下のチェリー・ガール
    コーヒーフロート漂流記
    てふてふなんなん/喋喋喃喃
    天国にも雨は降るか
    いっそこのまま昇天させて

    わたしいつまでも貴方の幻でいられる?
    自惚れ少女のエマイユ
    rassel
    恋の方程式は導けない
    誘う八重歯
    ひねくれ屋がさんにん
    けものはペールトーンを纏う
    天の川入水自殺
    甘やかに散らす火の粉
    きみの好きのひとことが奥歯にしみた

    ティースプーンはいびつに煌めく
    今夜、星が降る気配
    溺れたふりして掴んだ襟首
    あなたのためのくちびるだったの
    穴があったら突き落とすまで
    手綱を握る右手があれば
    温いだけでは孵れない
    策士夏に溺れる
    融点まではあと少し
    「おわりは優しくあるべきだ」と彼は云う

    やさしさが氾濫する
    えいえんエンゲル
    きみのいびつを殺めた日
    祭果て/saihate
    4G回線下で揺れています
    耳障りなドック・デイズ
    かわいいあの子はナチュラルキラー
    悪女と野獣とエトセトラ
    瓦解するエピローグ
    終いの日には花が咲く

    喉元過ぎても忘れられない
    きみがくれたやさしさだけで息をする
    ZiRiRi・負け戦も三度目
    3℃下げれば毒となる
    困るのはあなたの番です
    きみが薄れてゆくまでの話
    おんなじ色した心臓がふたつ
    あっちの鱗こっちの眼
    完全な朝にはいない彼
    あなたはまだ歯の立て方もしらない

    一目見たときから負けていた
    きみの抜け殻を抱く
    首筋に赤い弾丸
    糸遊/意図を結う
    無垢な素膚は気づかない
    彼特製・ポーチドエッグが焼ける音
    乞われてセブンティーン(恋われて)
    灼かれてラストティーン(妬かれて)
    日焼けたこころにラブ・チャージ
    どきどき鳴りやがってます心臓が

    夜明けのリネン室でこの世のおわりを見た
    六日知らずの恋
    ピュリティ・リングの外れる音
    cryolite/the cry of lie
    後ろめたくなっちゃおうよ
    とこしえの夜の住人
    あの子の息衝くゴーストタウン
    いざよう睫毛
    何もなし得ぬ肢体
    kiss off

    きみしかいらないようなそんな窓辺で
    あなたを想えばシプレが薫った
    ノープロブレムは薔薇が咲いたあとにして
    澱んだところで恋をした
    彼が決めたそこが終点
    まちがったきみごと貰ってくから
    死に花に水をやる午後
    バスタブで欠けていく月
    リボンをほどくのは夜にして
    まっしろなポロシャツ、染みたカフェオレ、べたつく感触とともに溶けだした夏が朽ちてゆく